conformation 2日目のメス犬の審査も、今回の私にとっては見逃せないものでした。一つは、もう一頭スタンダードが欲しくて待ってはいるのだけれど、もしも待っている所で思うような仔犬が産まれるようすがなければ、他の犬舎の犬もあたってみようかな?と少し考えていました。今回はそんなんで、本当に真面目に特にメス犬を見るつもりでいたのです。まぁしかし、、、実は、なかなか本気で気に入る犬は少ないというのが本音です。
 前日、友人の一人が「毎日毎日繰り返し犬ばかり見ていては飽きるでしょ。私たち、明日は一日遠出して遊びに行くけれど一緒にいかない?」と誘ってくれたのですが、これだけの数のスタンダードを見るチャンスはここまで来なければないので、お誘いはありがたかったけれど、また私は丸一日座って審査を見ることにしました。
 パピー・クリップというのは、あのシルエットがとても好きです。一番体形をカバーできるから犬がきれいに見えやすいのがいい、とも思う。
 左は、アプリコット。右はスタンダードでも最近ぼつぼつ出てきたレッド。
 PCA 全般を通してそうなのですが、一日に3ロールくらい写真を撮っていて、現像してみてみると、実は誰の写真かどこの犬がサッパリ、というのがほとんどです。写真を撮るのに一生懸命だとメモしているヒマがないし、たまにカタログにメモを入れてもわからなくなります。ハンドラーが写っていても出陳番号がわからないと「あれ?」だったりするし。そんなんで、去年も今年も写真の整理には苦労したというか、正直整理しきれない、というのが本音です。こういう、変わった色だったりするとあとから見つけやすいけど。
 プードルのショー・スタイルに関して、犬種標準で規定されているスタイルの改定についてここ数年前、アメリカでは非常に話題になりました。犬種標準では、ショーに出陳するためには生後1年未満の犬に許される「パピー・クリップ」と、生後1年を過ぎた場合は「コンチネンタル」か「イングリッシュ・サドル」の三つしか認められていません。ベテラン・クラスやブルード・ビッチ、スタッド。クラスに於ては「スポーティング・クリップ」が例外的に認められていますが、レギュラー・クラスで規定外のカットにした時、失格扱いになってしまいます。ところが、この独特のスタイルを仕上げることが非常に大変で普通の人が手軽にできるものでもないし、日常的な管理でもとても負担になるものです。これがある意味、プードルがショーに参加することの妨げになっているという意見が昔からありました。AKC 以外の犬種登録団体(UKC など)では、このクリップの規定を緩和してスポーティング・スタイルでもドッグショーに参加できるよになっていたこともあり、PCA もスポーティング・スタイルでの参加を認めるべきという意見が多くなってきたのです。これを受けて3年ほど前、PCA は総会で犬種標準書のクリップ規定を改めるかどうかの採決を行いました。その結果は、残念なことにトラディショナル・クリップのまま、つまり、従来通りでレギュラー・クラスにおけるスポーティング・スタイルは認められないというものになってしまいました。

 そこへ、ここにきて画期的なスタイルが新たに生まれたのです。それが、Versatile Clip(バーサタイル・クリップ)と呼ばれる、変形コンチネンタルです。そして今年、ついにこの versatile clip の犬が登場しました。もちろん、失格になんかなりません。というのも、犬種標準書においてコンチネンタル・クリップの「毛の長さ」までは規定されていないのです。頭の毛が短くてスウェルが結えなくてはダメ、とは一行も書かれていません。つまり、スタイルのアウトラインしか書かれていないのですから、それに沿った形であれば全体の毛の長さの解釈は自由ということです。(注:versatile clip は、ハンティング・クラスでの出陳の際にのみ認められたようです)

 versatile とは、一言で日本語になりにくい英語ですが、意味としては「多才な、多芸な」とか、「融通がきく」という意味もあります。このスタイルは特に水に入る必要がある、フィールド・ワークをする人達から大きな支持を受けています。一番左の写真ではちょっとわかりづらいかもしれませんが、前にいる犬のスタイルがその versatile clip。後ろの犬と比べて頭部やフロントの毛の長さの全体的な違いがわかりますでしょうか。その右の写真は、翌日、インターバラエティで走ったジャッキー・ボウマンとジョージ。ジョージは土曜日のワーキングテストにも参加していたバリバリのフィールド犬でもあります。
 さて、もしも日本でこのスタイルにしたら?果たして日本のジャッジは正当に受け入れてくれるのでしょうか、というのが、私の素朴な疑問でした。
 ここで、スタイルのおさらい。
 右の写真のうち、一番右側がコンチネンタル・クリップ。それ以外の2枚がイングリッシュ・サドル・クリップ。スタンダードでサドルは手間も大変なのであまり積極的にやる人はいないと思います。今年の PCA でも、私が見た限りでは、3頭だけでした。真ん中のホワイトはとてもきれいに仕上げられていました。

 この日は、先日がなにせ長かったので、早めに戻るつもりでいましたが、またモールに行って写真を現像に出し、待つ間に夕食にしていたらなんと外は激しい雷雨。去年も雷では大変な目に会いましたが、今度は巨大なモールの中だし、とノンキに構えていました。駐車場に置いた車に行き着くまでに雨に濡れましたが、去年ほど大変ではないみたいだな、と思いながら居候宅へと戻りました。ところが、住宅街に入っていくとなんだか様子がへん。異様に周囲が暗いのです。家に入ると、なんと真っ暗でロウソクがあちこち灯されているではないですか。そう、停電。実はこの日、ここにきてようやく居候宅の住人と顔をあわせました。前日は私は寝入ったところをコソコソ帰って来たし、朝は私が寝過ごしたので一人でカギを閉めて出てきたというわけ。ショーサイトでも(人と出会えないほど広いというわけではないのに)なぜか行き合わなかったのでした。それにしても連日連夜これだけ外に出ていると疲れるものです。
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