菜々子の老犬介護 その2 − 老犬介護に便利な物など
今年(2005年1月)菜々子のプチ老犬介護話を書いたのですが、今回はその続きを。 仔犬があっと言う間に大きくなるように、老犬もあっと言う間に衰えていきます。菜々子も、ほんの数ヶ月前まではできていた事、例えば階段の上り下りが気付いたらかなり苦労するようになっていたり、進行していく白内障のために暗くなるとほとんど見えていないような感じになったりと、確実に老いています。 その菜々子が10月の半ば過ぎ、朝トイレに出す時に階段の途中、最後の4段を踏み外して頭から転落してしまったのです。この日は調子が良かったようで、自力で階段を降りていきました。調子がいいと言っても階段を降りるスピードは遅いし一段ずつゆっくりようやっと、という感じなのでそばでついていないと危なっかしいというのが本当のところです。菜々子にとっては不幸なことに、ジャニスがまだまだ子供でトイレひとつでもこのガキの監視をせねばならず、菜々子に毎度毎度びったり貼り付いているわけにはいかない、ということがたまにあります。この日は月曜日で忙しく、早くうちを出たかったりしたものだから本来ならば先にリアンと菜々子をトイレに出して最後にジャニスを出すところを面倒だと同時に全員出してしまっていました。先を争うようにリアンと一緒に駆け降りて行ったジャニスの見張りをするために、私は先に階段を降り、ソロソロと1人で降りてくる菜々子を下から手を添えて手伝っていたのですが、最後の最後にきたところでタイミング合わずに支えきれず、4段を頭から滑り落ちてしまったのです。 頭〜右肩をコンクリートにぶつけてさすがの菜々子も「ギャン!」と一声。なんとか立ち上がらせてトイレだけは済ませましたが、その後部屋に戻した後に自分から立ち上がったり動くことがかなりきついのか、ぶつけた所が痛むのか、ギクシャクとしていました。それでも食べさせて事務所に連れていったのですが、車のバリケンからまず出すのが大変でした。事務所に運び込んで布団に寝かせたらそのまま自分から立ち上がったり動くことが全くできなくなり、寝かせたままのカッコウで首を持ち上げることもきついような様子でした。特に前足が突っ張るような感じで動かすこともできないようでした。体全体がこわばってしまったような感じで、これはまずい、と思ったのですが激忙の月曜でとても途中で獣医に行くヒマはありませんでした。問合せやファックス、メールの処理などなど夕方いっぱいまでバタバタした後、ようやく6時半過ぎに時間外でもよければ診て欲しいと病院に連絡を入れて夜連れていきました。 昼間、バリケンから出せなくなってしまったので、とりあえず菜々子のバリの上半分を取って(オープンにして)乗せていきました。 |
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これが、温湿布中の菜々子です。 当初はタオルを濡らして固く絞ったものを電子レンジで50秒ほど暖めて使っていました。この方法は手軽でいいのですが、困ったことにこれは長時間もちません。それと、いくら固く絞っても水気があるために毛が濡れてしまうのが難点です。プードルでなければ気にならないかも?ですが、濡れた後の毛がチリチリのパンチパーマ状態になってしまうのがどうもね、というのが私の一番の懸念事項でした。 今使っているのは、昔アメリカのモールで買ったアロマパックです。この中に8種類くらいのハーブが入っていて、これを電子レンジで暖めたり冷蔵庫で冷やして使えるというもの。レンジで2〜3分暖めると45分ほど暖かさが持続するため、タオルのように何度も何度も電子レンジにかける手間がない、というのがいい点です。長らくこのパックの存在を忘れていましたが、思い出して引っ張り出してきました。大きなポプリバッグのようなもので、こういうハーブ系の臭いが苦手な人には向かないかもしれませんが、ただの濡れタオルの温湿布よりもハーブでより効くような気がしてしいます。(苦笑) ネットで検索すると似たようなものが日本でも手に入るようです。 |
体の自由がほとんど効かなくなったために、まず大変だったのが食事です。痛みがあるのか首を下げることができないので今までのように食器からバクバク食べられないのです。仕方がないので当初は手で食べさせました。ブロートの誘発要因になるので食器は床に置いていたのですが、菜々子はリアンのようにはいつくばって食べるということをしないので、2日目からは台の上に食器を置くことにしました。ブロートは菜々子は経験者だから恐いのですが、その前に食べられなくなったことで体力が落ちてしまうのも困りますしね。。。 |
その他にあると便利な物が、足のついた犬用のベッドかコットです。
菜々子サイズの犬が本当に体の自由が利かなくなって寝たきり状態になった場合、床に寝た状態の犬を起こすことは想像以上に大変なことになります。私自身は仕事柄、長年重い物を持ち馴れているし体力もありますが、菜々子の21キロでさえ体が突っ張って自由にならない犬を起こして抱えることは大変でした。当初はよくても、こういうことが何日も、あるいは何ヶ月も続くとなると犬の前に飼い主の足腰のダメージの方が大きくなるかしれません。 |
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うちの場合は、転落しても大丈夫なように下にマットをひとつ置き、壁(というか、我が家の場合家具ですが/苦笑)に片側をつけて、そちら側に頭をぶつけてもいいように、ここにマットを立てかけました。 菜々子の場合、トイレの問題もあるため(間隔が短い&うっかり寝込むと尿漏れをすることもある)布団の上には防水マットを敷いています。また、コットの下と立てかけてあるマットもお漏らししても大丈夫な防水処理がされた製品です。(カバーを外して洗って何度も使えます) 当初動けなかった時は、床擦れを起こすのも恐かったので、1時間半〜2時間くらいで体の向きを変えていました。 |
更にあると役立つかも?というのが、ハーネス。 これも当初、菜々子が立てなかった時に着けていました。これがあると多少、体を引き起こしやすくなります。 これは、いわゆるH型ハーネスというものです。(私がビジネスサイトで扱っている引っ張り防止のハーネスはこういう介護用の役にはほとんど立たないはずです。念のため/苦笑) 私がこの手のハーネスを選ぶ時のポイントは、胸骨に支点があることです。(青い矢印のところ)これに、下半身を支えるハーネスがあれば完璧かも? ハーネスがあると、体を引き起こしてやる時や立った時の支え、また、車に乗せた時にシートベルトなどにリードで固定する際に便利です。リードは、背中側につけます。 それにしても私もいろいろと物持ちですね。(しかも以前から)でもそれがこういう時に役立っているからいいか。(笑) |
それで肝心な菜々子の方ですが、温湿布が効いたようで階段の上り下りこそできませんが、今は特に不自由なく自分で歩いて動けるようになるまで回復しました。 当初は安静と言われた3日間を過ぎても特に変化もなく、このまま温湿布をしていても果たして本当に効果があるのか?と、自分でも半信半疑でした。その効果が出たか?と思ったのは、始めてから5日ほどしてからです。当初は前足がほとんど動かなくて、立って自分の体を支えているのがようやっと。進もうと前足を動かしても3センチくらいしか足を出すことができなかったのが、今は以前とほぼ変わらない調子で歩き回ることができるようになりました。コットの上り下りも自分でやっています。 サプリメントの方は、ずっとやっているグリーンリップド・マッセルとキチンキトサンの他に、グルコサミンとコンドロイチンも加えました。今やっているフードにグルコサミンとコンドロイチンが含まれているので今までやっていなかったのですが、それにプラスしたらもっと効果でるかも?と思って付け加えました。それと、ダメモトでビタミンB。これについては実は昔の話でウロ覚えなのですが、知人のシーズーがベッド(人の)から転落して腰を打ち付けて腰が立たなくなった時にビタミンBの大量投与という処置を病院でしていたのを思い出してのことです。これがどういう効果があるのか、今度誰かに聞いてみます。 菜々子の場合、今回は温湿布が効きましたが、もし老犬の介護で足腰の不具合などに温湿布を試すのであれば念のため獣医さんに相談をしてください。菜々子は頚椎から全部レントゲンを撮ってどこに問題があるのか(頚椎の何番目とかね)どのへんが痛むのかをチェックしてからやりました。また、障害などによっては暖めるとだめなものがあるかもしれません。(このへんは私にはよくわかりませんので)また、温湿布は温度も見極めないと火傷をする可能性がありますので、注意して下さい。 2005-10 |