6月14日、水曜日からいよいよドッグショーの開幕です。第一日目はオス犬の審査です。今回、居候をさせてもらっている家の家主が自分の繁殖犬を出すため、日曜日と前日の夜は、手入れの手伝いをしていました。

 知人は、朝5時くらいに出ていくと言っていたのに、起きてみるとなんとまだいたのでビックリ。間に合うの?と聞いたら、なんとかなるよ、と言う。知人と私とで車二台で「ぶっ飛ばして」ショーサイトへ向かいました。途中、私はおなかがすいてマクドナルドに寄り道。知人は果たして無事にサイトに行ったのだろうかと思いながら、クォーター・パウンダーをほおばりつつサイトに向かった私でした。いやぁ、犬の出陳がないって気楽なのよね。

 審査は仔犬から始まり、昼前に知人が出る「Bred by Exhibitor」クラスになります。Bred by ... とは、日本でいう「自家繁殖」クラスです。去年はプロのハンドラーを雇っていましたが今年はオーナーハンドリングです。
 順当に審査が進み、Bred by クラスの犬達が並び始めたというのに知人の姿がありません。荷物を友人に見てもらって私は大慌てでパドックを駆け抜けて知人を探しました。

 「何やってるの?Bred by 並んでるよ!早く!」ショーの進行状況には全く気づかず、まだ時間があると思っていた知人は、ノンキにクシ入れなんかしてる。慌ててジャケットをひっかけ、私はクシとスプレーを抱えて一緒にリングサイドに走って行きました。
 知人のオスは、去年クラス3席だか4席に入っています。今年は会場入りも遅れたし、何よりも土壇場でドタドタになってしまって、イマイチでした。お疲れさま。犬はそこそこいいのに残念でした。
 今年のPCA、ドッグショーでの楽しみの一つにフランク・サベラのジャッジをじっくり見る、ということがありました。フランク・サベラはアメリカのプードル界では「神様」のような人です。実は、私は15年以上前(たぶん初来日だと思う)フランクが日本に来た時、誰も言葉がわからないからと知人に頼まれて2日ほど観光などにお付き合いさせてもらったことがあります。この時、私にはフランク・サベラという人がどれくらいスゴイ人かということの実感がなく本当に気楽に観光だ何だと付き合うわ、展覧会のジャッジの合間にオシャベリするわ、で、もしかしたらとても失礼なことしちゃったのかもしれません。一緒にいたハンドラーから「フランクは天才だ」「神様だ」と聞かされてもピンとこなかったんですね、実は。けれど、その後、東京での展覧会を2つ見たり、話をしたりして勉強になったというかスゴイな、と思わされたこともありました。一つはプードルのショーの時、確かベビーの審査だったと思うのですが、小さな仔犬でショーマナーどころのレベルではない犬達を広めのサークルに一緒に入れて遊ばせて、その動きを見て審査を決定したのには驚きでした。こんなこと、普通のジャッジはやらないでしょう。BOB に選んだシルバーの犬の体高を測ったことも後から「あの犬はとても良くて落としたくないと思ったので、サイズ内に収まっていることを確認したかったから測ったのだ」と教えてくれました。実は、この犬だけがスケールをあてられて、周囲で見ていた我々は「落とすため」に測ったのだと思っていたのです。ところが彼は「選びたかったから測った」と。なぜあの犬だけスケーリングしたの?と聞いて返ってきたこの答えに大げさですが、目からウロコみたいな気がしたものです。また、他のショーの後、私を見つけると「あのハンドラーにぜひ伝えてほしい」とわざわざ、パウダーを使うのはいいがこうした方がいい、あぁやったらだめ、というようなことも言いにきてくれました。

 そんなこんなで、そのフランク・サベラがPCA で、しかもスタンダードの審査をどうやるのかじっくり見たかったのです。私が彼と話をしたりしたのは、もうずいぶんと昔のことできっと覚えてもいないでしょうから、こちらから忙しそうな人を捕まえて話に行くことはしませんでした。
 今回のジャッジでも、そんな昔のことを思い出させるシーンがありました。パピーの審査の時に、バタバタで飛び上がってしまってまともに歩様ができない犬がいて、ハンドラーもてこずっていました。バタバタのままでアップダウンをして戻ってきた後に、なんとサベラ自身がリードを持ってハンドラーに引き方を教えて、その後もう一度歩かせてから審査をしていました。なかなかこういうこともできることではないと思います。

 そんなフランクの審査は実に手際がよくて、予定時間よりも早めに進んでいたようです。それもあって余計、知人が出陳時間をはかりそこねてしまったのでしょうね。

 この日、夜は所属しているクラブのミーティングがホリデイ・インで開かれるので、それに出るつもりでいました。ショーが少し予定よりも早く終わったので、どうしよう?と思ったのですが、時間をざっと計算すると、一旦居候宅近くのモールに行って写真の現像を頼んでから Waldorf に戻るのに十分な時間があることがわかりました。かなりの距離をドライブすることになりますが、まず1時間ほどかけて Baltimore 方面に戻り、モールに直行して写真の現像を頼みました。1時間ちょっとで仕上がるというので、モール内で食事をして、ブラブラ店を見て回って時間を潰しました。夕方6時過ぎに写真を受け取って、即刻またショーサイト方面に逆戻り。ショーサイトを通り越して Waldorf まで、約1時間半のドライブです。
 夜7時半から VIP のミーティングに出て、終わったのが夜10時を軽く回った頃でした。さすがに疲れて眠かったのですが、根性で真っ暗な国道を延々、道を間違えないようにと眠い目をこすりながら必死で知人宅に向けてドライブ。実は前日、うっかりインターを間違えて暗がりの中さんざん路頭に迷い、ショーサイトから知人宅まで2時間半ちかくかかってしまったのです。この日はなんとか間違えずに戻れましたが、正直フラフラ。戻ってみるともう住人は寝ていて、コッソリ足音を忍ばせて家に入りました。11時半でした。この日が一番長かった!

 右は、リングサイドに来ていたブラウンのスタンダード。右側の子は、ちょっとカフェオレがかっていますが、2頭ともとてもきれいなブラウンでした。
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