プードルの PRA のタイプは、実は二つあります。
OptiGen で血液サンプルによる DNA テストが実施できるようになったのは、prcd-PRA と言われるタイプの PRA で、これはプードルにおいて発症する全 PRAのうち75%、あるいはそれ以上がこのタイプのものであろうと言われています。この DNA マーカーテストで「ノーマル」と判定されたとしても、もう一つのタイプの PRA に冒されている可能性が捨てきれません。「もう一つのタイプの PRA がある」ということはわかっていますが、そのもう一つのタイプは、未だ具体的に解明されていないことを付け加えておきます。
また、プードルの眼疾患は、PRA だけではありません。例え prcd-PRA がノーマルであっても、繁殖に使う犬達は、やはり定期的に眼科専門医による診断を受けて網膜に変性が見られないか、他に遺伝的な眼疾患の問題がないかどうかをチェックする必要があります。
プードルにおいて PRA の発症は比較的遅いとされており、6歳以降、つまり多くの場合が繁殖をすでに経験、あるいは終えている年代で病気が発現するケースが多いとされています。それゆえに早い時期にノーマルか、あるいはキャリア、アフェクティッドかを知ることができるのは将来のブリーディングプラン及び、prcd-PRA をブリーディングラインから排除するのに非常に役立ちます。
また、発症が比較的遅いと言われていながら、2歳前に眼底検査でPRAの兆候が見られるケースもありますので、繁殖を考えているのであれば早い時期での検査をおすすめします。
なお、ERGによる臨床では、PRA などの眼科疾患が「発現しない限り」診断がつきませんし、この手法では「キャリアの診断はできません」。つまり、若いうちは網膜に特に異常もみられず「正常」であると診断されながら、その後発病するケースは十分あり得ますし、また「正常」と診断されていた犬が実際は「遺伝子レベルにおいてはキャリア」である可能性も十分あります。DNA テストにおいて特筆すべき点は、こうした「あいまいな部分」が明確になることと、年齢に関わりなく発病前に診断が可能であるということでしょう。ただし、繰り返しますが、今回可能になった診断はあくま でも prcd-PRA においてのみであり、他のタイプの PRA及び、他の遺伝性眼疾患については引き続き専門医による眼科診断が必要です。特に、prcd-PRA DNA テストにおいてはノーマルの判定であっても、近い血縁の犬が PRA を発症した場合は、別のタイプの PRA に冒されている可能性が高いので、近親の犬も含めての眼科検診がブリーディングプランを立てる上で必要になります。