latest findings about bloat
 胃拡張・捻転は、具合が悪そうだが明日まで待とうとか、少し様子を見よう、などという猶予の許されない症状です。その多くは夜中あるいは早朝に起こると言われており、緊急時に連絡の取れる獣医師の確保が必要となります。実際、夜中に症状を起し、診てくれる病院を探している間に手遅れになってしまうというケースが少なくありません。

 この病気に関して現在一番研究をしているのがアメリカのパーデュー大学です。そこでまとめられた最新の情報によると、ブロートの発生危険率の高いものは「大型犬及び超大型犬」で、グレート・デン、アイリッシュ・ウルフハウンド、ニューファウンドランド、セント・バーナード、ブラッドハウンド、ワイマラナー、ロットワイラー、アキタ、コリー、アイリッシュ・セッター、そしてスタンダード・プードルが上位リスク・ランクに挙げられています。


ブロート・リスクが高まる要因

1)大型もしくは超大型犬種で体型的に腹部が深く、その幅が狭いもの
 「胸部」ではなく、腹部であるというのが最新の研究結果("Beating Bloat", Dog World, April 2000)です。
 腹部が狭く深いということは、腹部にちょうどぶら下がったようになっている犬の胃が状況によって、大きく膨れたり、下垂したり、更には捻転するのに十分なスペースがあると考えられています。

2)一日に一度の食事しか与えられていないもの

3)早食いである
 従来から、食べ物との関連が言われてきましたが、現在のところでは餌の違いがどの程度大きく影響しているかは明確に示されていません。与える餌の種類などよりも問題になるのは、一日の食事の回数と、犬が食べるスピードです。
 一日に一度だけしか食事を与えられない犬や、がっつくように大急ぎで食べる犬ほど、ブロートのリスクが高まります。食事は一日に一度以上、できれば少ない量を回数を増やして与えること、また、早食いを防止する工夫をすることにより、リスクを減らすことができます。

4)恐がりで不安症気味の気質・性格
 恐がりで不安症の犬はストレス耐性も弱く、ブロートを起すリスクが楽天的で明るく、大らかな性格の犬よりも高いということがわかっています。

5)慢性的に痩せているもの
 体形・犬種からみて、平均よりも慢性的に痩せているものはリスクが高くなります。逆に、平均的な体重維持ができている、あるいは太り気味の犬の方がリスクが少なくなります。

6)頻繁にゲップをする、腹部が膨張する傾向
 頻繁にゲップをする犬は60%、腹部が膨張する傾向のある犬は20%、それぞれそのような傾向がみられない犬よりもリスクが高まるとされていますので、このような傾向のある犬は日常的な注意が必要でしょう。

7)加齢
 年齢が増すほどリスクは高まります。
 
この原因の一つとして胃を支える靭帯があります。靭帯は加齢によって弱るとされていて、弱まると伸びてしまい、ぶら下がった胃を十分に支える力が弱まって捻転を起しやすくなると考えられます。
 胃拡張・捻転は若い犬にも起こり得るのですが、高齢の犬ほどリスクが高くなります。大型種では3歳を越すとリスクが急激に高まり、超大型種ではそれよりももっと若い時期−6ヶ月においてもリスクが高まるという報告があります。
 また、以前に拡張や捻転を経験した犬は、それによって靭帯が弱まってしまうとも言われ、同じ症状を繰り返す傾向が実際にありますので注意が必要です。

8)遺伝・家族的要因
 血統内で極近いもの(両親・兄弟)に捻転がみられた場合、リスクは非常に高くなります。このため、自身が捻転を起した経緯があるものはもちろん、両親・兄弟に捻転がみられた場合でも繁殖に用いるべきではないでしょう。


重大事項−今までの常識の間違い

 食べたり飲んだりする時に、余計な空気を取り込むことが胃拡張や更には捻転を引き起こす大きな原因の一つとされています。その為、従来、大型犬の場合は特に食器の位置を高くしてやることが余計な空気の取り込みを防ぐと考えられていました。しかし最近の研究により、食器を高くすればそれだけ拡張・捻転のリスクを高めるということが判明しています。捻転のリスクを減らすためには、食器は低い位置=床に置くようにします。
 運動の前後に水を制限する、食事の前後の運動を制限する、ということも胃捻転を防ぐために従来されてきたことでした。しかし、これらは特にあまり大きな効果はないようで、今後のより一層の研究が望まれるところです。


菜々子とブロート(長いのですが、参考として読んでみてください)

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参考・引用:"Beating Bloat", Dog World, April 2000 Reports from Purdue University

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