プードルと暮らす上でのヒントなど
★まず仔犬に教えること 仔犬が我が家にやってきたら、当然誰もがまずトイレやおすわりといったことを教えるでしょう。プードルの仔犬が来たら、この他にもう1つもっと大切な事があります。 グルーミングテーブル(トリミングテーブル)があれば一番いいのですが、なければしっかりした台の上でも構いませんし、もちろん床で教えても大丈夫です。台などを使う時は、足元が滑らないようにしてください。それと、勝手にそこから飛び降りないようにすることも必要です。顎の下とお尻(股の間)に手を添えた形で、両手で支えてまっすぐ立つようにします。この時にうまくできないからと仔犬を叱ることは避け、少しでも立っていたらほめることが肝心です。そしてこの「立っていられる状態」を数秒から徐々に長くできるようにしていきます。(顔の方は支えたままで構いません。) 手入れを受け入れるようにすることは、そのまま、仔犬の体をどこでも自由に触ったり、時に足先や尻尾の先を軽く掴んだりすることに慣れさせることです。徐々にピンブラシなどにも慣らしていくようにします。 立っていられること、手入れを受け入れられるようになることの2点と同時に「テーブルの上で横になること」も教えたいことのひとつです。これは、特にスタンダード・プードルの場合は必須になります。というのも、スタンダードのドライヤーは毛の長さなどにもよりますが1時間以上かかることが多いので、人も犬も寝ていてくれた方が断然楽だからです。 仔犬は集中力がないため、飽きっぽかったり落ち着きのないのは仕方がないことです。しつこく、しつこくやらず、短時間で上手にできたら、また、少しでも落ち着いて受け入れてくれたら、確実にほめて終えるようにします。 ★手入れと毛の管理 定期的なカットがどうしても必要になります。 仔犬の場合、生後6,7ヶ月頃からの手入れが一番大変です。アンダーコートが吹いてくるようになるので、毛の長さにもよりますが前の日にブラッシングしても翌日にはもう絡んでいる、ということがよくあります。特にショーコートにしている場合はこの頃から1歳半過ぎまではかなり大変になります。ショーコートの場合は、絡みがひどくなる前に洗ってしまった方が毛を維持するのにいい場合が多く、そのシャンプーの頻度は週1度か10日に1度くらいになります。使用するシャンプー、リンスによっても多少差が出ますので、個々にあったシャンプー剤を選ぶ必要があります。 (余談:ショー管理の場合は、それなりに手を抜いても大丈夫なような管理をしますし、シャンプーやリンスもかなり研究します。毛の管理の大変さは承知の上での作業ですので、そもそも解くのに何時間もかかるような毛玉は最初から作りません。というか、作らない努力をしつつ、ショーのための手入れや管理は、日々のルーティーンとしてごく当たり前の事としてやっています。よく考えてみると時間もそれなりにかかるので大変は大変ですが、このへんのノウハウがない一般家庭では、もっと恐ろしく大変だと思います/苦笑) この数年は、顔にクリッパーを入れず顔回りの毛を残した「テディベア・カット」が流行のようです。顔を刈るか刈らないかは好みの問題ですが、もしテディベアやマスタッシュにしている場合は、口回りが汚れやすいので清潔に保てるよう気をつけてください。ここが汚れていると顔が臭くなる原因にもなりますので、要注意です。 ★運動について 仔犬のうちは、無理な運動はさせないように気をつけてください。特にトイはただでさえ華奢ですので、高い所から飛び降りたり、必要以上に跳ね飛んだりしないように気をつける必要があります。また、室内の床は滑りにくいようにしておく方が足腰、膝のために良いでしょう。 仔犬は自分が楽しければ自分の体力や能力以上に運動してしまいがちです。興奮していれば余計に自分で自分をコントロールできなくなるので、飼い主が時には止める必要もでてきます。骨格ができ上がっていないうち(生後1年〜スタンダードは1歳半くらいまで)は特に注意してください。他の犬達と走り回って遊んだり、ボールやフリスビー遊びに熱中しすぎると、自分の体力を越えてもなお、まだやり続けてしまうことがよくあります。途中で休ませる、時間に区切りをつけることは遊びのけじめをつけるという意味でも大切です。よく、「自由運動を」と本などに書いてあることがありますが、自由運動というのは、犬が勝手に好きなだけやらせていいものではないと感じます。 余談:ドッグランは両刃の剣です。仔犬の社会化という名目で連れていかれる方も多いかと思いますが、見ず知らずの赤の他人の行動特性も気質・性格もわからない犬達の中に仔犬を放り込むことは、時に危険なことにもなります。自分の犬は仮にコントロールができたとしても、見ず知らずの相手の犬がコントロール不能かもしれません。ドッグランでいじめられて、その後自分の身を守るために相手を威嚇したり、ケンカを覚えてしまうケースもあります。悪気はなくても遊び方が乱暴すぎる犬もいます。犬同士で1つのボールやフリスビーを追いかけてそれがケンカに発展することもあるでしょうし、そもそも、複数の犬が1つのボールなどを全力で争って激しくぶつかるなど、肉体的な危険もあり得ます。交通事故の心配もなく、犬嫌いの人達にも遠慮せずにリードを放して自由に遊べるドッグランは魅力でもありますが、賢く使う必要があると思います。 運動のさせ方や量ですが、確かにある程度の「運動」は必要です。けれど、個体差はもちろんありますがアスリートのように鍛え上げるほどの大運動量は必ずしも必要ではないと感じます。運動の量や長さ、きつさなどよりもむしろ、中身の工夫が必要ではないかと思います。私自身は「犬の運動について」でも書いているように、犬同士だけで好き勝手に遊ばせたり、公園などでやたらとリードを放して好きなだけかけずり回らせたりすることは好みません。これらの行為に反対の意思を持つもう1つの理由は、犬の要求に見合った運動を毎回繰り返してそれを日常的にやっていると、犬の運動要求はますますエスカレートし、いずれは飼い主のコントロールができなくなるおそれが強くなってしまうからです。常に犬達との追いかけっこや自分が満足するまで走り回るような運動をしていたら、毎日でもそうしないと犬は満足しなくなる可能性が高くなります。特に若いうちの運動欲求や体力はある意味、天井知らずの部分がありますので、敢えてそれを飼い主側が管理する必要があると思います。プロの運動選手でも過剰なトレーニングで体をかえって壊すこともあるのですから、加減知らずの若い犬は特に飼い主がある程度管理してやった方が健康のためにもいいと感じています。 また、運動というと、走ったりすることを真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、散歩も犬の社会化を促進するという意味で大切です。「社会化」と聞くと、仔犬の頃の話だけだと誤解される方も多いのですが、社会化は仔犬の時期限定ではありません。人の社会の中で暮らす以上、犬達はこの過密で忙しい人間社会のいろいろなことや刺激に慣れる必要があります。静かな場所、人込み、道路沿い、学校の近く、ただ歩くだけでもいろいろな場所を体験できます。散歩の最中に他の犬とすれ違ったり、猫が横切って行ったり、知らない誰かに話しかけられたりするかもしれません。これらの何気ない1つ1つの日常の出来事が、絶好のトレーニング・チャンスにもなります。交差点で信号待ちの間は座っていることとか、他の犬とすれ違う時は冷静でいること、知らない人と接する時はどうしているべきか、猫が飛び出して来ても追いかけないこと、などなど。そして、何よりも大事なのは、この犬との散歩を飼い主自身が楽しむことではないかと思います。当然そのためには、まず仔犬のうちから散歩の時はリードを引っ張って歩いてはならないということを教える必要があります。 私の場合は常に同じパターンでの運動にならないよう、トレーニングを挟みながら工夫しています。散歩だけ(歩くだけ)の時もあれば、オモチャやボールを使って一緒にかなり体を動かすこともあるし、犬と追いかけっこをすることもよくあります。基本的には犬だけの勝手にはさせず、広い場所でもロングリードを使って常に犬と一緒に動き、自分と犬との遊びとしての運動をしています。興奮しすぎてコントロール外(ブチ切れ状態)になる前に中断するなり、やめるということもしています。ロングリードを使って走ったり、ボール遊びをしても、合間にぶらぶら一緒に歩くなど全体で強弱をつけています。もちろん、最高に楽しく思い切り遊ぶ前は「お勉強」(トレーニング)をやってからですし、お楽しみの最中にもお勉強が差し挟まれる場合もあります。 ★プードルはもともとは水猟犬ですが・・・ 運動の1つに、水泳を考えていらっしゃる方もいるかもしれません。水泳は、股関節が悪い子にもいい運動になりますし(負荷が少ない)暑い夏の水泳はきっと犬も楽しいと思います。プードル、それもスタンダード・プードルはもともとが水猟犬なので、泳がせてみたいと思う方も多いかと思いますが、その際には、どうか以下の点に注意してください。 まず、一部の犬種を除いて、生まれつき最初っから上手に泳げるという犬は少ないと思います。いきなり深い所や流れの速い川、波の荒い海に放り込むのは危険です。ある程度上手になるまでは安全な浅瀬で「水遊び」程度の方が無難でしょう。また、うまく泳げるようになっても何があるかわかりませんので、安全を考えて犬用のライフジャケットなどを使うことをおすすめします。なおかつ、当然呼び戻しはできるようにしておきましょう。 ★クレート もう一つ教えておきたいのは、クレート内で静かに過ごすということです。 私自身は、交通事故の経験はないのですが、知人が正面衝突の事故を経験しています。この時、シーズーとコーギーが乗っていたのですがそれぞれクレートに入っていたために軽い打撲だけで済みました。ちなみに、シーズーのクレートは後ろの座席から前の座席まで衝突のショックで飛んできたそうです。もしクレートに入れていなかったら相当の怪我をしたでしょう。この時、人間の方は救急車で病院に連れて行かれたほどの事故でした。(幸いにして軽傷で済みました) ★ショーマナーとしつけの誤解 私がトイを出陳していた昔「お座りを教えてはいけない」と周囲からよく言われました。今でも、ショーに出す犬にはリング内で座ることを防ぐために「座れ」を教えない方がいいと言う人は多いような感じがしなくもありません。本当にそうなのでしょうか? ******************************************************** 以上、思いつくままに書きましたが、参考になれば幸いです。 2005-1 |