リアン 里帰り雑記
2004年3月30日、3年前にリアンを日本に連れ帰った時の当初の約束通り、リアンは一時的にシカゴ郊外の親元に里帰りすることになりました。ここで数ヶ月ショーに走り、次のシーズンで交配した後、たぶん秋くらいには日本に戻ってくる予定です。

親元の所に着いた週末から早々にミネソタのショーに出かけ、私だけショーが終わった後に慌ただしく戻ってきました。その間の約1週間の様子を少し紹介します。

参考までに、狂犬病清浄国の日本からアメリカへの犬の持込みは有効期限内の狂犬病予防接種や混合ワクチンを受けている健康な犬であれば簡単です。当初、アメリカに犬を持ち込むにはマイクロチップが義務づけられていると信じていた私ですが、実際は必要ありませんでした。(驚)
出国前に(リアンのマイクロチップのページ参照)マイクロチップが読めるかどうかの確認など、バタバタした私でしたが、結局、成田空港の動物検疫事務所のスキャナーでもリアンに入っている AVID 社製であるにも関わらずマイクロチップの読み取りができませんでした。そのために輸出証明書にはマイクロチップについては記載無しで渡米することになりました。そして、アメリカでの入国は全く問題がなかったのです。チップの有無すら聞かれもせず、書類に担当者が目をざっと通しただけであっけなく通関は終了してしまいました。アメリカ入国にはマイクロチップ必須、というのはガセネタだったんでしょうか?(謎)

2001年6月に日本に来た時は、長旅のストレスもあってか着いて早々に下痢をしていました。そのことがあったので、アメリカに着いてから体調を崩すのではないかと心配していましたが、本人はいたって元気。着いて早々にランに出してやるとご覧のとおり。下痢することも体調を崩すことも全くなしで、マイペース、という感じでした。

ちなみに、シカゴ・オヘアまでの飛行時間は成田から約11時間。(直通)成田までに行く時間もかかるし、飛行機に乗るまでの時間、飛行機に乗せてから飛び立つまでの時間、シカゴに到着してからの移動時間なども考えると、うちを出てからトータルでここに着くまでに16時間以上は軽くかかっていることになります。人でもこれだけの移動には疲れるのですから、犬もタフじゃなくてはやっていかれません。体調を万全にしておくことはもちろんですが、もう一つ、精神的にもある程度のストレスに対応できるだけの気質の良さも重要ではないかとつくづく思います。リアンの場合「やっほぉ〜!」な性格(気質)にだいぶ助けられているのはもちろんですが、私と一緒にいると車で半日くらいの移動やら(この間はクレート内です)見知らぬ場所に行くことがどうしても多くなるので、その間にもだいぶ鍛えられたのではないかと感じます。

着いた当日は、私もリアンもノンビリでした。この日のうちに必要な買い出しなどを(友人からの頼まれ物や、ショーに必要なスプレー類の仕入れ)しているうちにほぼ一日が終わったという感じです。

約3年ぶりに親元を訪ねてみたら、随分と周囲の様子が変わっていました。
うちの前の道路は、以前は片側1車線ずつの典型的な「田舎道」で、うちを出てすぐのT字路の信号はセンサー感知で信号を替えるタイプでした。つまり、家の前の田舎道からこのT字路に来た時、道路の白線まで車を出して待機しないと信号がいつまで経っても赤のまんまで変わらないのです。私は3年前に来た時にそうとは知らず、白線から下がって車を止めて信号機が変わるのをしばらく待っていました。長い赤信号だなー、と思っていたら後ろから来た車のおっちゃんに「前に行かないと信号が変わらないから車を前に出して」と言われて、初めてそういう仕組みなのだと知った次第です。つまり、それくらい車も少ない「田舎道」だったというわけ。
それが今回来てみたら、なんと片側2車線ずつの大きな道路に化けていました。もちろん、信号機はもうそんなノンキな代物ではなくなっています。道路が広くなって今までは見たこともないような大型トラックまでが通っているのにはビックリ。犬が飛び出したら交通事故の心配が出てきたというわけです。

もう一つの大きな変化が、自宅裏でした。3年前にも「裏の土地が売られたのでこれからうちが建つ」とは聞いていました。以前は広大なただの荒野としか見えなかった裏は大型住宅が182戸も建ち並ぶ、一大新興住宅地に化けていました。上の写真、リアンが走っている向こうに見えるのが、その新しい住宅の一つです。

親元には現在、トイ1,スタンダード6がいます。スタンダードは2頭がフルコートで、クリームのディアナ(左の子)がもう少しでフィニッシュするところです。ブルーの子はフルコートにしているけれど、どうしても気に入らないところがあると言うことで、ほとんどショーには走らせていないようです。

このディアナ、リアンとはいとこ同士になり、よく似ています。違いと言えば、リアンよりも幅がもう少しあってがっしりした感じ、というくらい。目の前をすーっと通られると、時々どっちがリアンでどっちがディアナか一瞬わからないくらいで、親元のうちでも間違えられたりしていました。(笑)

トイはリアンを迎えに行った時にパピーでショーに走っていた little devil のゼルダ。当時よりもだいぶ愛想がよくなっていたし、カットダウンしたら本当にかわいらしくなっていましたが、中身はやっぱり little devil。玄関先ですごい勢いで吠えつかれて、リアンがうちの中に入れなくなったことすらありました。(笑)

到着2日目は、リアンのブラッシングをしたり、グルーミングに来た犬達がいたので、ドライヤーなどのお手伝いをしていました。
グルーミングに来たのは、全部リアンのご親戚さんです。
6歳になるチェイス(ショーでタイトルを取ったあと、アジリティとオビディエンスでもチャンピオンになっている)は、どちらかというとお父さん似かな?オビディエンス・トライアル・チャンピオンという肩書きが不釣り合いなほど、普段はカッ飛んでいる元気な男の子です。この子は、リアンのおじさんになります。オーナー夫婦は、若く見積もっても70代半ばという老夫婦。こういう「お年寄」がアメリカのオビディエンスには本当に多くて驚きます。
その他は、やはり7歳になるショー・リタイアのクィンシーと、リアンのいとこ(ディアナと姉妹)になるケリー。クィンシーは98年に最初に私がここを訪れた時はパピーでショーに走っていました。この子もカッ飛び元気印で、ランに行くまでの間もカッ飛んでいて、リアンが調子にのって追っかけっこしていました。今はシカゴのダウンタウンでケリーと一緒に、なかなかファッショナブルな素敵なお姉さんと暮らしています。

親元には今、スタンダードが6ですが、ここではほぼいつもこのくらいの数の犬しか置いていません。日本と違ってスペース(敷地など)に余裕があるとか、犬や犬舎にかける費用が日本より安く済むにしても、一人が面倒を十分見られて手をかけられる犬の数というのは、いくらショーが終わったあとは坊主に近い状態でいても限りがあるからです。数だけ産ませる繁殖はまずしないし(実際、ここは1年半から2年に一度くらいしかお産がないし、1頭のメスが経験するお産も多くて3回程度です。)ショーにも繁殖にも使わない子は、普通の家庭の子として愛情をかけてくれるペットホームに出してしまいます。実際、1頭の犬がショーで活躍する年数なんて、一生の時間から比べたらほんの少し。その後、例え1,2回お産を経験しても、まだ後の長い犬生は普通のペットとしてかわいがってもらえる方が手を十分にかけてもらえない生活よりも幸せでしょう。ちなみに、ここではケネル生活の犬は誰もいません。みんなベッドルームで寝起きを共にして、普段は家の中をごろごろしています。3年前に私が来た時にいた子達とはそんなんで、半分顔ぶれが変わっていました。

到着3日目は、週末のショーに向けてグルーミングの開始です。道具は日本から持っていったものの、クリッパーまでは持って来られないので、慣れなくて重いアメリカのクリッパーにちょっと苦労しました。(苦笑)2頭を洗ってカットして、ほぼ一日が終了です。翌日は、ここから6時間半ほどかけて二つ隣のミネソタ州まで出かけます。出陳は、リアン、ディアナ、それとリアンの後腹の弟になるジョリー。